産業用カメラ

★ この記事では、産業用カメラについてわかりやすく説明することを目標
  としています。随時更新します。

◎ 産業用カメラとは

 産業用カメラとはセキュリティ用との監視カメラから、FA、医療用やバイオなどの産業用に使われているカメラ、カメラモジュールのこと。小型軽量化、フルカラー、高精細、高フレームレートが求められている。FA・工業分野に利用されることが最も多く、特に半導体製造や液晶製造、チップマウンタの生産・品質管理に多く採用されている。

◎ 産業用カメラの歴史

産業用カメラとは、撮像素子がCCDからCMOSに変化したことで、撮像素子の生産性が高まり、低コスト、低消費電力、低サイズが実現したことしたことで、スマホのカメラから、ドローンやサービスロボットといった様々なものにカメラが取り付けられるようになりました。
身近なカメラの普及とは異なり、それ以前からFA(工場の自動化)用途に使用されていました。一般的には、これを「マシンビジョン」と呼びます。適応分野は、ロボットや自動車、医療、物流、農業など、かなり幅広くなっています。

2005年頃までは、マシンビジョンにおけるカメラを日本が牽引してきましたが、今では、海外メーカーに世界中のシェアを奪われてしまっています。

1990年代は、撮像素子がCCDのアナログ通信のカメラを使用していました。アナログ通信では、カメラから出力されたアナログ信号を、画像入力ボードでデジタルに変換する必要がありました。このアナログカメラ市場では、日本のメーカーが世界中のシェアを持っていました。

2000年代には、カメラからコンピュータに直接デジタル信号を伝送できれば、画像入力ボードが、要らなくなるということに、世の中が気づき、その方向にシフトしていきました。

この流れにいち早く乗ったのが、Baslerであり、通信規格を定めることで、アナログからデジタルへの世界的なシフトを加速させようとしたした。この時にできた規格が、GigE Visonで2005年に定められました。

この時日本は、Ethernetで安定した伝送ができるとは、思っておらず、マシンビジョンでの品質にとらわれ過ぎて、この流れに乗ることができませんでした。しかし、Ethernetは画像伝送用の規格ではなく、IT向けに作られた規格なので、途中で通信が途絶えても、本来の用途では問題ありませんでした。そのため、その規格を画像の伝送に使用するという思想を受け入れられないのは、筋が通っていると思います。ただ結果として、大きな波を逃してしまった、というだけの話です。

GigE Visonが定められ、不安定性を無くすために、仕様や性能が向上していきましたが、1度、画像の伝送が不安定という思考になってしまった、日本が変化に対応することは難しく、Gigabit Ethernetでのハード面での性能向上を冷静に分析することが、出来ませんでした。

日本がアナログカメラにこだわり続け、これが時代遅れだと気づき始めたのが2010年頃です。世界では、2013年頃に、アナログカメラをデジタルカメラが越したのに対し、日本では2016年頃になってようやく、アナログカメラとデジタルカメラが同等になってきたのです。

1990年代から2000年頃までは、ソニーのCCDは世界のシェア率がほぼ100%となっていました。世の中の民生品がCCDからCMOSにシフトしていた時、マシンビジョンで使用する、工業用のカメラは、運用上の問題(設置した装置全体の品質を確保するために、1度運用が始まると余程の理由がない限り、カメラを交換することがありません)からCOMSへの移行が大きく遅れました。そのため、工業用のカメラは、2015年時点で、CCDとCMOSの割合が世界的にみて「5:5」となっています。

この流れの中で、どこからCCDがCMOSに移行され、誰が移行したのかに注目していきます。

この市場は、ハイエンド、ミドルエンド、ローエンド、エントリーという4つのカテゴリーがあるとします。この中で最も流通しているのがエントリーモデルで、その逆がハイエンドモデルとなります。

ここでCMOSにいち早くシフトしたと考えていたのが、ハイエンドモデルを使用する顧客層であり、その理由は、より速く画像を取り込みたいというものでした。これはごく一部のハイエンドモデルを使用する顧客層であり、全体シェアの50%には到底満たないのです。

これは、エントリーモデルでCCDからCMOSにシフトをするという流れに成功した証でもありました。

エントリーモデルに出現したのがAptinaという会社で、本来の戦場である自動車や監視向けにCOMSの大量生産を実現しており、既に価格はCCDを下回っていました。しかし画質の問題がありました。

これを解決したのがBaslerをはじめとする海外勢で、工業用途でも活用できるレベルにまで、画質を補正する複雑なアルゴリズムを開発し、AptinaのCOMSを活用して工業用のカメラを作ることに成功したのです。

また、CCDとCMOSの価格差がその当時で2倍〜4倍になっていました。

CCDからCMOSへシフトして、マシンビジョンの市場も益々大きくなる中で世界No.1の地位を築いたBaslerは、今後の生き残りの戦略としてLEANコンセプトを唱えています。これはLEAN=薄いという意味があり、「徹底して無駄を排除する」ということを差し示しています。顧客には余計な機能を付けずに必要な分だけを提供するのです。

この考え方はとても大切で、カメラを選定する際に、大抵の場合オーバースペックになってしまい、無駄なコストを出してしまうことになります。

Baslerは様々な撮像素子メーカーのCMOSを使用しています。これは、顧客へフィットする提案ができるようにする為です。現在では、SONY、ON Semiconductor、Aptina、CMOSIS、e2vの撮像素子を用いていて、製品は400種類を超えています。

また、Baslerはレンズにも目をつけました。カメラは10年で市場が大きく変化し価格も変化したのに対し、それに対応して売れるレンズは価格帯が変わっていないのです。
具体的には、CCDからCMOSに変化した時、撮像素子の主流のサイズが2/3インチ以上から1/2インチ以下に変わったことに注目したのです。市場に出回っているレンズは、2/3インチ分の材料を利用して製造されますが、新たに1/2インチ以下に最適化するレンズを独自に設計し、販売するようになったのです。

これは、Baslerのコンセプトである、LEANに当てはまります。カメラだけではなく、撮像装置として考えた時のレンズの無駄まで削除したのです。

○ エンべデットビジョン

エンべデッドビジョンとは、工場の外における画像処理のことです。つまり民生市場で画像処理を利用することを意味します。また、FA用途のものをマシンビジョンと呼びます。

自動車やロボットにカメラが搭載されるようになったように、既にある市場に、新たなセンサーとしてカメラが活用されるようになったことを意味します。

2016年時点では、シリコンバレーを中心として自動走行をベースにしたサービスを実現に積極的に取り組んでいます。工場ではある程度自動化が進んだので、物流といった市場でも、配送等の自動化を目指しています。

また、エンベデッドビジョンの進出によって、カメラが需要がさらに増え、カメラのコストが下がります。そうすると、コスト面でカメラを使用して画像処理をする代わりに、用いられていた光電センサーをカメラに置き換えることが可能になっています。

○ 産業用カメラ今後

米国や欧州では、工業用途での画像処理の成長はもはや5%にも届かなくなりつつあり、大きな変革がないとこの市場では生き残れない状態になっています。

この先は、工業用途の画像処理でコストダウンやこれまでは、画像処理を採用していなかった分野に進出して生き残っていくか、民生用途で画像処理を拡大するという2つになります。

また、どの市場でも、コストダウンを要求されることはありますが、カメラはCCDからCMOSに変化し大きくコストが削減され、レンズもそれに対応した低コストのものが多くあります。では、次はどこに目を向けるべきでしょうか?

これからの時代は組み込み用のボードに画像処理を実装することで、コストダウンをする方向に進んで行きます。CCDからCOMSに変化したように、画像処理をするコンピュータをPCから組み込みボードにするのです。
そのうち「カメラだけで、画像処理を完結する時代が来る」かもしれません。

従来は、組み込みボードで開発しようとすると、OSが統一されていなかったため、開発の初期コストが膨大にかかり、出荷台数が多く出るものでないと組み込みボードを使用することができませんでした。

PCを使い、OSでWindowsを採用すれば、開発環境が充実しているため、初期コストを抑えることができました。

汎用マイコン、汎用OS向けの開発環境の進化により、より簡単に開発をすることができ、開発する用途向けにカスタマイズすることができます。

これはカメラから画像データを伝送する時に、GigEEやUSB3に変換せず。組み込みボードに渡すことが可能になるということです、最近ではARM + FPGAが一体となったZynqといったチップが存在しますが、そのFPGA部分にLVDSで直接渡してしまえば、さらにコストを削減できます。また、MIPIを利用することで現在のケーブルコストを大幅に下げることができます。

組み込みボードによって、コストダウンだけではなく、サイズを小さくできるので、実際に製品として開発をするときに選択肢を大幅に広げることができます。

これからは、BtoCへの画像処理の導入をいち早くできる企業が、さらなる躍進を続けることができるのです。

○ BtoCへの画像処理の導入

◎ 産業用カメラの主要企業

  • Basler
  • FLIR Systems Inc
  • Teledyne DALSA
  • Vieworks
  • Cognex
  • ソニー
  • Jai
  • Baumer
  • 東芝テリー
  • オムロン
  • National Instruments
  • IDS
  • TKH Group
  • Daheng Image
  • The Imaging Source
  • HIK Vsion

◎ 産業用カメラの特徴

☆産業用カメラは、一眼レフカメラのような標準的のカメラと比較すると堅牢に作られています。カメラを使用する前提条件として、周囲の温度が高い場所での用途など、通常とは異なる環境に耐えなければならないため。

専門的な測定を行う際には、詳細な部分まで確認できる画像が必要となるため、より高い解像度が必要となります。
産業用カメラには、デジタルカメラが一般的に備えている
「ファインダー、シャッターボタン、フラッシュ」などがありません。
その代わり、インターフェースを通じてカメラをコンピューターに接続し、I/O(入出力)ケーブルを使ってトリガーを入力した後、
カメラに接続したコンピューターにあるソフトウェアから画像を撮影するための信号を送信します。これが「シャッターボタン」の役割となる。

  • 長期供給
  • 高画質
  • 最大フレームレートの高速化
  • 頑丈な筐体
  • 外部機器からのトリガー信号による撮像

◎ 画像処理で使用するカメラの種類

  • 産業用カメラ
  • IPカメラ
  • ハイスピードカメラ
  • 赤外線カメラ(赤外線サーモグラフィー)
  • カラーカメラ
  • モノクロカメラ

◯ 産業用カメラ

☆産業用カメラとは、画像を非圧縮で伝送可能です。
エリアスキャンとラインスキャンカメラがあります。

エリアスキャンカメラ

多数あるピクセルを同時に露光し、1回の撮影で、画像データを記録します。一般的なカメラの露光方法と同じ(おそらく)になります。

ラインスキャンカメラ

エリアスキャンカメラとは、対照的でピクセルのラインが1〜3本しか無く、それらのピクセルを露光することで撮影をします。画像データはラインごとに撮影され、画像処理をする際に、個々のラインを合わせて画像として扱います。

◯ IPカメラ

☆IPカメラとは、画像を圧縮して伝送するIPアドレスを持ったカメラのことです。頑健なハウジングを有しているため、屋内外問わず使用でき、フィルターなど様々な機能を持っています。

○ カラーカメラ

カラー画像には、もちろん色情報を含みますが、露光後にデモザイクという、カラーサンプルからフルカラーイメージを再構築するための処理をする必要があります。有名なカラーサンプルには、「ベイヤーフィルター」「」などがあります。

○ モノクロカメラ

色情報が特に必要でない限り、カラーカメラよりも感度の高い、モノクロカメラをお勧めします。
同じ画素数のセンサを用いた場合、カラーカメラがモノクロカメラと同じ画素数になるのは、露光後に画像処理工程でデモザイクをすることによって、色情報を補完しあっているためです。

◎ 産業用カメラのマウントサイズ

☆産業用カメラのマウントには、CマウントとCSマウントがあるが、フランジバック(マウント面 (接触面)) から、撮像素子面までの距離)の長さが違います。
CSマウントにCマウント対応のレンズを装着しようとすると、場合によってはフォーカスが少しずれた画像が撮影されることになります。
この場合、マウントアダプタを装着することでフランジバックの長さをCマウントのフランジバックと同じ長さにでき、問題を解決することができます。

Cマウント

  口径 :25.4mm(1インチ)
  ネジピッチ :0.794mm
  フランジバック:17.526mm

CSマウント

  口径 :25.4mm(1インチ)
  ネジピッチ :0.794mm
  フランジバック:12.5mm

◎ イメージセンサ

◯ イメージセンサメーカー

主なイメージセンサメーカはsonyとON Semiconductorの二社です

Sony

On Semiconductor

◯ イメージセンサの種類

イメージセンサはCCDセンサとCOMSセンサがある。2016年には業界最大手企業のsonyがCCDセンサの生産を中止したため、世の中の流れはCMOSセンサである。

CCD

CMOS

参照ブログ<イメージセンサ(撮像素子):>

◯ イメージセンササイズ


 ・主なイメージセンササイズ

◯ ピクセルサイズ


 ・主なピクセルサイズ

◯ 撮影方法


 ・ラインスキャンカメラ
 ・エリアスキャンカメラ
 ・近赤外線カメラ(NIR)
 ・

◯ シャッタ


 ・グローバルシャッタ
 ・ローリングシャッタ
 ・グローバルシャッタ&ローリングシャッタ

◯ 機能


 ・オートゲインコントロール
 ・HDR

○ インターフェース


 ・USB3.0
  ケーブル長さ:8(m)
  データ処理速度:350(MB/s)
 ・USB2.0
  ケーブル長さ 5(m)
  データ処理速度:40(MB/s)
 ・CameraLink
  ケーブル長さ 10(m)
  データ処理速度:850(MB/s)
 ・CoaXPress
  ケーブル長さ 10(m)

GigE Vison

GigE Visionは、そのような不安定性を克服するべく、すべての通信パケットをカメラとパソコンの両端で監視して、1つでもパケットが失われれば即座に再送させる安全なソフトウエアの仕組みを(UDP上に)作り込みました。


  GigEカメラとは
   PoE(PoE)を使用してデータケーブル経由で電源を供給するカメラ。
  特徴
   最大でデータ転送速度100MB/s、ケーブル長100メートルまでの使用に最適。ケーブル一本で電源供給とデータ転送を行うため、設置とコストの削減が可能。
  主な仕様
  ケーブル長さ 100(m)
  データ処理速度:100(MB/s)
 ・10GigE
   10GigEカメラとは
   10GigEカメラは、マシンビジョンで広く普及しているGigEの後継カメラ(インターフェース)
  特徴
   転送速度がGigEカメラの10倍に拡大しているので、高解像度な画像の撮影・転送が可能。
  主な仕様
  ケーブル長さ 10(m)
 ・25GigE
  25GigEカメラとは
   25GigEカメラは、マシンビジョンで広く普及しているGigEの後継カメラ(インターフェース)
  特徴
   転送速度がGigEカメラの25倍に拡大しているので、高解像度な画像の撮影・転送が可能。
  ケーブル長さ 10(m)
 ・HDMI/DVI
  ケーブル長さ 10(m)
 ・HD-SDI/3G-SDI
  ケーブル長さ 10(m)
参照<https://www.baslerweb.com/jp/vision-campus/interfaces-and-standards/>


PoE(PoE)を使用してデータケーブル経由で電源を供給するカメラ
  ケーブル長さ 100(m)
データ処理速度:100(MB/s)
 ・10GigE
  ケーブル長さ 10(m)
 ・25GigE
  ケーブル長さ 10(m)
 ・HDMI/DVI
  ケーブル長さ 10(m)
 ・HD-SDI/3G-SDI
  ケーブル長さ 10(m)

◯ メーカー


 ・BASLER
 ・TELEDAINDALSA
 ・IMPERX
 ・Baumer
 ・The imaging Sourece
 ・Lumanera
 ・Optronis
 ・EmergentVisonTechnologise
 ・EPIX
 ・

◎ レンズ

使用する環境がどんな配置が可能か。また、配置が決まっている場合には、それを参考にしてレンズを選定します。

○ レンズの種類

単焦点レンズ

ズームレンズ

マクロレンズ

顕微鏡対物レンズ

○ カメラから被写体までの距離

有限距離

無限遠

○ 被写体が動体かそうでないか

○ 撮影環境が外か室内か

○ 必要な解像度

○ 必要な視野

○ 拡大撮影が必要な場合

光学倍率の計算

画素分解能の計算

拡大レンズの利用

接写リングの利用

○ 縮小撮影が必要な場合


 ・ズームレンズ
 ・単焦点レンズ

>画像という分野

画像という分野

画像に関連することを網羅していきます。

ぜひお時間がある方はのぞいてみてください。

CTR IMG